シニフィアン研究所(埼玉県上尾市&和歌山県和歌山市)の迎意 愛(むかい あい)です。
	精神分析という対話療法で心身の悩み相談をしています。
	           
	今日は、「子育て(心育て)に即効薬なはい」について書きたいと思います。
	
	悩みがあれば、一日も早く解決したいと思う。
	親にとって、それが子どものことであれば、なおのこと。
	不登校や引きこもりであれば、早く学校や社会に参入して欲しいと願う。
	非行や暴力など、問題行動があれば、早く止めて欲しいと思う。
	当然のことだと思います。
	でも、あえて『子育てに即効薬はない。それぞれの子どもに必要な時間と手間をかけ続けて初めて心も育つ。』と言いたいと思います。
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	引きこもりをしていた息子さん(Mさん)と、そのお母さんの例を紹介します。(両人の了承済)
	あるキッカケから、不登校、引きこもりとなったMさん(当時小5)。
	昼夜逆転、ゲーム三昧、夜遊び、暴力など繰り返した後、
	高校卒業と同時に、たまたま出会ったバンド仲間と共に、好きな音楽の道へと歩み始めました。
	「先がまったく予測できない道だけど、好きなことだから今は楽しい。
	バイトを掛け持ち、都会での6畳ひと間の共同生活は厳しいけど、何とかやってる。」
	そんな最近のMさんです。
	一方、Mさんのお母さんは、
	家の中は悲惨な状態で、家のいたるところにMさんが開けた大きな穴がありました。
	金属バットで追いかけられた時には、警察に電話をしようかと何度も迷ったそうです。
	いわゆる荒れた状態です。
	そんな中、毎日が緊張の連続で疲れ果て、体調もすぐれず、
	「いっそこの子と・・・・・」と思いつめることも一度ではなかったといいます。
	このようなMさんとお母さんに当時のことを聞いてみました。
	Mさんは「何かわからないけど、ぶつけるしかなかった。口うるさい親にイライラしていた。気が付いたら穴を開けてた。」
	そして、お母さんは
	「オールOKと言われて、何がなんだか解りませんでしたが、とにかく私が息子を諦めたらダメなんだと、それだけは心に刻むようにしていました。まだ先は見えませんが、好きなことを見つけて自分の足で歩こうとしている息子を見て、あの辛く苦しかった日々が過去のことだとやっと思えるようになりました。」と語りました。
	「オールOK」と出会ってから7年余り、長い月日かもしれません。
	それでも、Mさんとそのお母さんにとって必要な時間だったと思います。
	オールOKでMさんに向き合うために、お母さんが努力したこと。
	
	・どのようなMさんであろうと、決して見捨てず、すべて受け入れる覚悟をもつこと。
	・暴れるのは、Mさんの思う通りになっていないからだと理解すること。
	・Mさんは、お母さんがいつか自分のことを分かってくれると思っていること。
	
	これを基本に、Mさんに一貫性を持って向き合う努力をすることで(必ずしもできたわけではありません)、
	お母さんはMさんの言葉をまったく聞いていなかったことに気づきました。
	そして、「まず、自分が言う前に、Mさんの言うことを聞こう」と決意したそうです。
	もちろん、すぐにはうまくいきません。
	が、努力しているうちに、Mさんにも変化が見られるようになってきました。
	まず、壁に穴を開けなくなり、ポツリポツリと話もするようになりました。
	
	その後も、紆余曲折がありましたが、7年という歳月を歩んできた二人です。
	かかる時間と内容は、状況や人によって違います。
	他の人と比べることはできません。
	ですが、Mさん母子を通して学んだことは
	「子育てに即効薬はない」ということと、
	「母が子を見捨てず、すべてを引き受ける覚悟を持っている限り、いつか子どもは自分の歩む道を自ら探し出すであろう」ということです。
	
	すべての人に当てはまるかどうかは明言できません。
	ただ、これまで関わった方々を通して、心を育てるには、
	すべてを引き受ける覚悟を持ち(=「オールOK」で向き合う)、
	個々人に必要な時間をかけることが大切であることを伝えたかったのです。
	オールOK子育て法はこちらを参照ください。http://signifiant-lab.com/raise/
	子育て教室http://signifiant-lab.com/#10も開催しています。
	 
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